夕刻に徳島鳴門を出発した高速バスが
まもなく淡路島を抜けて
明石海峡大橋にさしかかるとき
身を乗り出すようにして見つめる
風景がある
すでに日は暮れて
明石から舞子まで
海浜沿いにまぶしいほどに
灯りがともる
その風景が好きだ
私が知っていた明石舞子とは様変わりし
うらさびしい風景を思い描いていたのとは
正反対である
父母や祖父母が往来していた町
今よりもずっと新鮮な魚を食べていた町
思い出す時間すらないほど
ぐんぐんバスは飛ばす
橋を渡りきると
対岸の山中の道路へと突き進む
そこは闇の世界に
道路が浮かび上がる