山育ち(平成27年1月31日)

わたしは山っこ山育ち

粉雪が舞い始め冬将軍の到来だ

小屋からスキーを引っ張り出して

滑走を試みる

 

粉雪が積もり山が白い姿に変わるとき

秘密のルートをひとりでたどる

 

来る日も来る日も

誰にも内緒の自分だけのルートを

滑走する

 

木の枝から落ちてくる雪をよけながら

埋もれてしまわないように

緩急とカーブの変化をあきることくなためすのだ

危険といわれても

ただひとり滑走せずにはいられない

 

やがて明るい陽射しに粉雪がとける頃

秘密のルートの地面があらわになり

山スキーの季節が終わる

ある年陽射しが心の扉をたたき

スキーをやめようと決めた

十分に楽しんだ

十分に堪能した

そうして

二度と山スキーをしたことがない