乗り物酔い(平成26年9月15日)

「急ぐ」と一言云ったばかりに

タクシーは飛ばしに飛ばし

目的地に時間内に到着

乗客は眩暈に頭痛、嘔気に嘔吐

苦しみながらビル内に消えた

スピードに懲りた乗客は次の日

「飛ばすと嘔吐する」と運転手に警告

驚く運転手は時速30キロ

あわれに思ったのか

「お客さん」

飛行機は大丈夫ですか

船は 電車は 飛行機は

高速バスは 新幹線は

と乗り物づくしを始める始末

わたしはエレバーターが苦手でしてね

自転車にも追い抜かれる車中で

乗り物酔い談義に

花が咲く

季節は速足ですぎてゆき

酔い止めを服用し

機上の人となったくだんの乗客

滑走路に向かう機体に

大きく手をふる整備士の姿が

小さくなっていく

無事に飛んでくれ

手術を終えた外科医のように

願いのこもった両手の動きが目にしみた