ムーミンは谷に
降り始めた雪を見ていた
上から下へ
ななめ上からななめ下へ
風にあおられて
くるくる舞う白い羽根のよう
あきずに眺めていた
風が止み日が射し
青空が見えたとき
ムーミンは冷たくなった手を
ママに暖めてもらいに
家の台所へ行った
ママは冬眠からさめたときに
食べられるように
ジャム作りをしていた
「ママ、みじめになる方法ってあるの」
ママは答えた
「自分のことを考えるといいのよ
自分がもらって当然のもの
みんなから自分が好かれること
自分が誰からもやさしくされること
そんなことを考えていると
きっとみじめな気持になれるわよ」
ムーミンは暖めてもらった手に
手袋をつけて
外へ行った
西の空が茜色に染まる
ムーミンの好きな時間だった