への期待(2020年3月21日)

突然に思い出した あることを

それはね

昔々のことだった

古い校舎の古びた教室

ある日の授業

倫理社会の授業だった

先生がこんな話を聞かせてくれた

ある年の慶応大学の入試で出された、作文の問題

黒板にはこう書かれていた

慶応大学

への期待

について作文せよ

これを見て、ひとりの受験生は

「そうか、『へ』の期待を書くんだな」

そこで、時間いっぱいを使って

おならが出なくて苦しみ、おならが出るのを期待した話を書いた

その受験生が合格したかどうか

結末は忘れてしまった

遠い昔の、そして、

限りなく美しい日々の

思い出ひとつ