勘違い(平成26年2月26日)

きょうは26日なのに

勘違い

27日と思いこんでいた

きっと

しばらく電話で話していない妹が

気になっていたのだ

4月の27日生まれだから

27日が心の片隅に

浮かんできたのだった

それとも

昔、26日に大事件があった

そのことを思い出したくなくて

カレンダーから消してしまったのかも

しれない

ドンドン(平成26年2月26日)

筒井康隆『バブリング創世記』の

ページを開いてみたら

こんな文があった

ドンドンはドンドコの父なり

ドンドンの子ドンドコ、ドンドコドンを生み、

ドンドコドン、ドコドンドンとドンタカタを生む

どこで区切られるのかあいまいだけれども、

おもしろおかしく読める

どんどん読める どこまでも

どこどんどん どんたかたったなかけいいち

泣かないよ((平成26年2月26日)

お父さんに連れられて

きょうはワクチンの日

腕をすっくと差し出すと

いつも泣かないわよね

逃げ回る子もいるのに

強いのねと

看護師のお姉さんにほめられた

お父さんは

うちではね注射しても泣かないんだと

自慢しているんですけど

ぼくは泣くのをみたくてね

きょうも涙一粒見せもせず

長い髪を肩にたらして平気な顔つき

そうだよね

お父さんがいくら願っても

泣けないものは泣けないよね

あしたは3歳の誕生日

わたしはつよい

 

ミューズはどこへ(平成26年2月26日)

待てども

待てども

小鳥は飛んでこない

野良の猫もやってこない

餌を用意してあるのだが

そんな日には

決まって

ミューズも来ない

 

待てど暮らせど

詩神は来らず

 

賢治の写真を見てごらん

首から手帳とペンをぶら下げている

今ならデジカメもぶら下げていなくちゃね

 

 

 

 

第六感(平成26年2月26日)

このごろ診察に訪れていない

どうかしたのだろうか

気がかりになる日がある

そんな時に

当の人がやってくる

ほっとした気分に一瞬なる

これは虫の知らせか

第六感か

インスピレーションを大切に

今宵また

 

 

漢和辞典(平成26年2月23日)

芙蓉の花が枯れ、実をつけて寒風にゆれる。

ひとつちぎってみると、綿毛に包まれた黒い実が

のぞく。

きょうも学校で

先生に叱られた

友達の誘いを断って

いえに帰った

二間だけのアパートの隅っこで

本を開いた

いえの中には本が2冊あって

どちらもお気に入り

漢和辞典とことわざ辞典

なみだには漢字が三つ

いちばん好きなのは

だって書きやすいから

 

苦労するために生まれてきた(平成26年2月22日)

雨にも負けず

風にも負けず

昔、詩人は歌った

そして今

雨にも勝てず

風にも勝てず

雪にも日照りにも勝てず

陽ざしは少なく息さえつけない

土凍り根は水を吸えない

苦労するために生まれてきたの?

隣に問うてみた

そうなんだよと返事が返ってきた

三日間降り続いた雪がやみ太陽が輝いた朝、

今だ、今しかない

つぼみを守り紅色の小さな花を

力の限り開かせよう

公園の誰も見ない

生垣のさざんか

子どものボールが転がっていく

散る準備はできた?(平成26年2月16日)

風の冷たい日曜日。

保津川下りの船が運休中のこの時期、嵐山も嵯峨も

人出が少なくなる。寒村のようだ。

風が冷たく吹くのを生垣にそって歩いてよける。

散歩しながら、とあるうちの垣根の樫の木が

目に入った。

夏の暑さにも冬の雨風、雪にも耐えてきた葉なのだが、

虫に食われてぎざぎざになり、今にも力が尽きて散りそうだ。

常緑樹と言われる木々も春先になるといっせいに

葉を落とす。一年間、光を浴びて呼吸してきた

古い葉は役目を終えて、散っていく。

そして新しい葉。それは本当に美しい。

次の春まで1年間、役目を果たすのだ。

好きな木(平成26年2月15日)

浄水場の跡地に植わった1本の木。

ポプラの木だ。

さかさまに立てられた竹ぼうきのよう。

満員電車に詰め込まれ肩をすぼめる人のよう。

これがボクの好きな木なんだ。

背丈が高いので、周りには高い建物がないので

遠くからも見える。広々とした空間に

枝を横に張り出して美しいシルエットを作ればいいのに、

窮屈そうに枝が幹に添う。密集林に植えられたと

勘違いでもしているのか。

北国の木のはずなのだが、近畿のこんな所に来たのだ。

ボクの暮らす四里四方の内で

一番好きな木。ポプラの木。

雨風の強い二月の今夜、

真っ暗がりの中、枝はさびしく揺れて

さかさまほうきのように

僕の心も揺さぶられる