和菓子の包装紙には
小さなラベルが貼ってあり
材料が印刷されてある
さらに小さな字で
手亡
これは何だろう
てぼうと読んで
意味はインゲン豆のこと
あんが豆から作られたというわけだ
白い豆、赤い豆、緑の豆
豆のいろいろをまぶたに思い描いた
和菓子の包装紙には
小さなラベルが貼ってあり
材料が印刷されてある
さらに小さな字で
手亡
これは何だろう
てぼうと読んで
意味はインゲン豆のこと
あんが豆から作られたというわけだ
白い豆、赤い豆、緑の豆
豆のいろいろをまぶたに思い描いた
ほうれんそうをゆがいて
食べたら
なぜだろう
まるで初めて食べるみたいに
うまいのだ
外は真っ暗
外は雨
こんな風雨の夜に
屋根と壁に守られて
何の文句があるものか
えんどう豆 インゲン豆 さやえんどう
豆野菜の苦さと甘さ
ほうれんそう みずな
葉物野菜の苦さと甘さ
春はこんなふうに
苦くそして甘く
生きとし生けるものに
苦さだけではないことを
甘さだけではないことを
示すのだ
ピーマン2個に
玉ねぎ半個
オリーブオイルでいためて
塩をふる
できあがるのは
ねっとりとそして甘い味わいの
二人分の野菜料理
ありふれた朝の
ありふれた朝食の一品だ
きょうが平凡な一日であることを
予感しながら
ありふれた朝食の時間がすぎていく
きょうという日が
特別な一日にならないことを
言葉にならないような言葉で
願っている
これほど有名な映画を見たのは
最近のこと
そうは言っても父が生前のこと
「初めて見るなあ」と言うと
父はこう言った
「おまえは勉強に忙しかったから
見るひまがなかったんやな」
憐れむかのような口調で
実際いつも追われるかのように
勉強していた
頭のいい人なら短い時間ですむものを
グレゴリー・ぺっくはいい俳優だな
ほんとうに
王妃に惚れていたにちがいない
演技ならああはできないな
空高く羽をうち舞うオオワシは言う
空を飛べることさ
海を深く浅く泳ぐ魚は言う
海を泳げることさ
地上を歩き回るヒトは言う
どこまでも遠く歩けることさ
頭は重く胃も重く
つらい朝を迎えた
ちょっと身の置き所がない感じで
庭の落ち葉集めをすることにした
10月の台風が杉を揺さぶり
枯れた葉を大量に落としたのだった
作業をしては一休み
一休みしては作業を
繰り返すうちに夕方が来た
ようやく頭や胃が普通に戻ったのだった
島根県松江市で開かれる学会に出席することになった
新幹線で京都から岡山へ
特急で岡山から松江へ
どうってことない時間と距離なのに
頭痛がだんだん強まって
帰り道では頂点に達した
乗り物酔いは苦しいものである
とくに特急に乗ると
決まって起きる
こんなわけで
京都から特急に乗って行くところは
天橋立も金沢も和歌山も
二の足をふんでしまう
台風のあと
青空に雲がくっきりと浮かぶ
風とともに
とある男が舞い下りて
こんなセリフを言い捨てて
また風とともに失せていった
背が高いだって
それがどうした
背が低いだって
それがどうした
はげてる
ふとってる
目が小さい
それがどうした
そういう問題じゃなくて
じゃあ
何なのさ
力をつくして生きること
力のかぎり生きること
気分が沈んでいく
ものうい空の下
どうでもいいことに
時間をさくに限る
なぜか
studio
という単語が気になり
辞書をめくる
study
student
みな同類の言葉であると
辞書は言う
英語もドイツ語もイタリア語も
studioを
使うんだよ