大文字山に登る(2020年3月19日)

3月15日は日曜日だったので、大文字山を登ることにした。

晴れていたわりには風が冷たく吹いていた。

南禅寺の近くから歩き始めて、山頂まで。

グループ、家族、夫婦の登山者がほとんど、

一人登山は自分だけか。

やはり、全員に追い抜かれた。

山頂は100人はいそうなにぎわいで、

ちょうど昼時、めいめいが食べ物を食べていた。

登山用の鍋を使って、本格的なランチのグループを

見たら、いいなと、うらやましくなった。

下山は元に戻るか、銀閣寺方面へ降りるか。

ちらほら、銀閣寺へ向かう人がいるので、

迷う心配はなさそうだ。

下り道は、3歳くらいのこどもが歩いていた。

後ろから来た人たちに追い抜かれ、全員に

追い抜かれた。

あと少しで平地への地点で、後ろから来た人に、

「お先にどうぞ」と言ったら、

「いえいえ、そのままどうぞ」という一人登山の人。

年代も近く、下山しながら、少々、おしゃべり。

それは悪くないのだが、困ったことが一つおきた。

「年取ったらね、寝られなくなってね、2,3時間かかるんや」

こういうセリフを3回聞かされた。いやだな、ネガティブな言葉は。

大文字山なんて、高さ500mだから、登山のうちに入らないけれど、

すれちがうときに「こんにちは」と交わすのは

楽しい気分になれた。

それから3晩、寝つきが悪く、夜中にめざめたりした。

ネガティブな言葉の毒素が体にまわってしまっていた。

そして4晩目、いつも通りの熟睡に戻った。

マスクの未来(2020年3月19日)

もし高級路線をとるなら

シャネル、ルイヴィトン、などなど、

高級ブランドのマスクを作ればいいな。

もし世界標準の路線をとるなら

ユニクロのマスクなんていいな。

しまむらのマスクもいいな。

顔をおおう服装を復活させてもいいわけだし。

高校3年生(2020年3月14日)

いつまでたっても

こんなに時が過ぎ去っても

高校生気分が抜けない

卒業式が終わって

することと言えば

教科書やプリントを片付けることだけ

浜辺を歩いて

思うこともなく

繰り返す波と時間が過ぎていく

菜の花(2020年2月3日)

今頃、どこの村の畑のあぜには

菜の花が咲きほこっているだろうな

黄色の花と淡い緑の葉が風に揺れているだろう

都会に暮らす者たちの食卓に

おひたしとなって

並べられる

その苦味、その春の香り

幼い子にも

苦味がわかるのだろうか

苦労多い父親は思うのだった

みかんのマーチ(2020年2月2日)

暖かい午後

風もなく ふらふらと歩いていたら

こんなレモンを見つけた

すっぱいので鳥は実をつつこうとせず

きれいな形でぶら下がっていた

この季節、かんきつ類が次々と産地から

都会のスーパーに届く

みかんのマーチみたいに

不知火(しらぬい) 

清見オレンジ

甘夏 

はっさく

甘くて さわやかで すっぱくて

ひととき

みかんのなかに我を忘れる

一見さん(2020年1月5日)

いちげんさん お断り

紹介のない初めての客は入れません

そういう店のことを

いちげんさん お断り

というそうだ

ちょっと違った意味にもとれる

一回だけしか来るつもりのない人は

お断りします

何度も通ってくれる客

ひいきにしてくれる客

そういう客を求めています

って意味ではないかしら

しかし一度も行ったことがないのに

何度も通うことを先に約束するって

無理なんじゃないか

こんなふうにも思う

よく考えてみたら

学校とか会社とか

入ってみるまではわからないはずなのに

ずっと居続けることを先に約束するところだ

結婚だって

ずっと添い続ける約束を先にしておくものだ

人生とは

こういうものなのかな

面接必勝法(2019年12月2日)

秘訣は3つ

一番目
面接担当者を信じること
初対面だから信じるも信じないもないと
普通は思うだろう
しかし 初対面にもかかわらず信じること

二番目
今、目の前にいる面接担当者は必ず
正しい判断をしてくれると信じること

三番目
もし面接試験合格なら喜べばいい
もし不合格なら
それでも喜べばいい
きみはこの会社では活躍できないよと
親切にも教えてくれたことに

鼻をなめられて(2019年10月14日)

夙川河口の近く
浜風が窓のカーテンをゆらす家に
その男は住んでいて
豪雨で流されてきた
猫2匹を飼っている

豪雨の翌日
どうやら生後1週間ほどだったので
牛乳を与えて育てたのだった

ある年の暮れ
知人から喪中はがきが届いた
妻に先立たれたことを知り
なんだか悲しくなり
自分の妻にこんなことを語ったという

「おれなあ、きみが先にいったら
ずっと落ち込んでると思う」
帰ってきた返事は
「あなたなんて、1週間したら
けろっとしてるわよ、きっと」

これを聞いて
男はもっと悲しくなり
次の朝
ふとんから出れなくなった

そのとき
ねこがきて
男の鼻をなめた

そのあと
男は鼻の頭を
こすりながら
明るい光が窓のカーテンの
向こうにさしたのを
目にとらえた