宅配の食材(2020年4月11日)

食材は宅配で注文するようになってから

もう25年

週末に食材を求めてスーパーマーケットへ

そんな暮らしはせずに来た

今日はこれを食べたいと思っても

そうはいかない

家にある物で作る食べ物を食べられれば

満足しなくちゃ

米だってトイレットペーパーだって買える

宅配のありがたさ

今年の目標は

フードロスを減らそう

入学式の思い出(2020年4月11日)

あまりに平凡な題で

だれもが書ける話だ

けれども

入学式がなかったという話なら

かける人はぐんと少なるにちがいない

これから書くのは

入学式がなかった思い出

1968年4月

覚えている人がいるだろう

東大の入学式が中止されたことを

代わりに学科ごとの入学式が行われた

挨拶に立ったのは

政治学の教授の京極純一氏だった

丸い眼鏡をかけ、すでに白髪交じりの

背広姿だった

「もう一度入学試験をしたら君たちの3分の2は

入れ替わる」

続けて

「君たちに求められているのは卓越性の追求なんだ」

今もこの二つの話は忘れられない。

ローマの休日(2020年4月11日)

言わずと知れたオードリーヘップバーンの

代表作。

誰もが見る映画の一つだ

私が見たのは30歳をだいぶ過ぎたころ

帰省したときに父の本棚にあるのを見つけたのだった

LDといって今はないタイプで、DVDの前身のものを

テレビ画面で見た。

「初めて観たな」と父にいうと

父は

「ずっと勉強に時間を割いていたから

見る時間がなかったんやな」

と父は言った

「なんや、こんな有名な映画を見たことなかったんか」

とは言わなかった。

父は、万事こんなふうに、

今風に言えば

息子の私の気持ちに寄り添ってくれる人だった

亡き父に

思いあふれて

散るさくら

パスタはたっぷり(2020年4月5日)

パスタはたっぷり貯蔵庫に

パンもバターも貯蔵庫に

備蓄は十分

コメだってもち米だって

味噌も醤油も貯蔵庫に

備蓄は十分

ないものだって

たっぷりあるのだから

蜂蜜

親密

濃密

三蜜がなくて

ないものだって

たっぷりあるんだ

への期待(2020年3月21日)

突然に思い出した あることを

それはね

昔々のことだった

古い校舎の古びた教室

ある日の授業

倫理社会の授業だった

先生がこんな話を聞かせてくれた

ある年の慶応大学の入試で出された、作文の問題

黒板にはこう書かれていた

慶応大学

への期待

について作文せよ

これを見て、ひとりの受験生は

「そうか、『へ』の期待を書くんだな」

そこで、時間いっぱいを使って

おならが出なくて苦しみ、おならが出るのを期待した話を書いた

その受験生が合格したかどうか

結末は忘れてしまった

遠い昔の、そして、

限りなく美しい日々の

思い出ひとつ

耐え忍ぶ(2020年3月21日)

今なら

どんな苦しいことにも

どんなにつらいことにも

耐え忍ぶ

ひたすらに耐え忍ぶ

そんな力があるように思えるのだった

林の中では

落ち葉の上にまた落ち葉が重なり

耐えているわけではなかろうが

積み重なる落ち葉のように

耐え忍ぶ力が

今の自分にはあるように思えるのだった