突然に思い出した あることを
それはね
昔々のことだった
古い校舎の古びた教室
ある日の授業
倫理社会の授業だった
先生がこんな話を聞かせてくれた
ある年の慶応大学の入試で出された、作文の問題
黒板にはこう書かれていた
慶応大学
への期待
について作文せよ
これを見て、ひとりの受験生は
「そうか、『へ』の期待を書くんだな」
そこで、時間いっぱいを使って
おならが出なくて苦しみ、おならが出るのを期待した話を書いた
その受験生が合格したかどうか
結末は忘れてしまった
遠い昔の、そして、
限りなく美しい日々の
思い出ひとつ