当たらずとも遠からず(2017年6月17日)

父の口癖の一つが
当たらずとも遠からず
だった

小学校5年生の一年間
毎夜毎夜3時間
父から勉強を習っていた

質問されて答えると
しばしば
父はこう言うのだった
当たらずとも遠からず
正解ではないのだよ
しかし
まったくの間違いではない

そこで再び考えをめぐらして
答えを言う
再び
当たらずとも遠からず
そんなやりとりが
何回も続いて
正解へといたるのだった

何度も答えを探しているうちに
思考力が命を帯びたように
いきいきと動き始める
父はまた言うのだった
やっと油がのってきたな
勉強を始めてから
1時間も2時間もすぎて
ようやくにして
本気になるのだった