地球上のどこかに
昼夜逆転の国があるとして
そこでは他の国々とは異なり
夜に目覚め日中は眠る
どんな不都合もなく
人々は幸福に暮らしているという
各国から昼夜逆転に苦しむ人が
続々と集結しているという
ある若者が日本から かの国に向けて
旅立った。
しばらくは幸福に暮らしていた
夜になるとジョギングやウォーキング、仕事や勉強に
取り組み、食事はおいしく、しかもぜい肉はない
やがて自分の家が恋しくなり
父母の顔を思い浮かべて涙するように
なった
あまりに悲嘆は深く、かの国の
通常の生活ができなくなった
夜は寝て、昼間に目覚めているようになってしまった
そうして
この若者は日本へ
父母のいる家に帰ることにした
帰国した若者は
今は、昼間におきて夜に寝るようになった