財布(2020年4月14日)

財布がひとつ落ちていた

財布と言っても小銭入れ

拾ってみたら自分の物

自分のクルマのドアの下

雨に濡れ皮が湿ってた

車を降りるときに落としていたのに

気づかなかったのだ

なんと運のいい

盗られても文句は言えないところだった

中身のコインはピカピカ

雨降りの夜の出来事

偶然と運命(2020年4月14日)

ここに一組の男女がいる

私たちが出会ったのは運命的だったのね

こうしてこの男女は結婚した

時は流れ

その間にいろんなことがあった

こどもが生まれ育ち

やがて巣立っていった

ある日

どちらからともなく

別れ話が持ち上がった

時は流れ

男女は別れた

私たちは分かれるように運命が決まったいたのだね

4月の雨(2020年4月13日)

街路樹のイチョウに小さな葉がつき始めた

幹は雨にぬれて、コケの緑がひきたつ

まことに春らしい命のいきおい

けれどもこの寒さは初めての経験だ

4月の雨ふる日の寒さと冷たさ

やはり5月が来るまでは

暖かさとぬくもりはやってこないのだ

5月 5月 5月

早く来い

宅配の食材(2020年4月11日)

食材は宅配で注文するようになってから

もう25年

週末に食材を求めてスーパーマーケットへ

そんな暮らしはせずに来た

今日はこれを食べたいと思っても

そうはいかない

家にある物で作る食べ物を食べられれば

満足しなくちゃ

米だってトイレットペーパーだって買える

宅配のありがたさ

今年の目標は

フードロスを減らそう

入学式の思い出(2020年4月11日)

あまりに平凡な題で

だれもが書ける話だ

けれども

入学式がなかったという話なら

かける人はぐんと少なるにちがいない

これから書くのは

入学式がなかった思い出

1968年4月

覚えている人がいるだろう

東大の入学式が中止されたことを

代わりに学科ごとの入学式が行われた

挨拶に立ったのは

政治学の教授の京極純一氏だった

丸い眼鏡をかけ、すでに白髪交じりの

背広姿だった

「もう一度入学試験をしたら君たちの3分の2は

入れ替わる」

続けて

「君たちに求められているのは卓越性の追求なんだ」

今もこの二つの話は忘れられない。

ローマの休日(2020年4月11日)

言わずと知れたオードリーヘップバーンの

代表作。

誰もが見る映画の一つだ

私が見たのは30歳をだいぶ過ぎたころ

帰省したときに父の本棚にあるのを見つけたのだった

LDといって今はないタイプで、DVDの前身のものを

テレビ画面で見た。

「初めて観たな」と父にいうと

父は

「ずっと勉強に時間を割いていたから

見る時間がなかったんやな」

と父は言った

「なんや、こんな有名な映画を見たことなかったんか」

とは言わなかった。

父は、万事こんなふうに、

今風に言えば

息子の私の気持ちに寄り添ってくれる人だった

亡き父に

思いあふれて

散るさくら