新車って
そんなものはないんだよ
そんなはずはないだろ
やっぱり新車ってないんだ
どうして
販売店でお金を支払って
自分の物になったとたん
もう新車ではなくなるんだ
中古車になるんだよ
そうだから
新車を運転したことのある人って
どこにもいなんだ
誰一人新車を運転できないんだよ
新車って
そんなものはないんだよ
そんなはずはないだろ
やっぱり新車ってないんだ
どうして
販売店でお金を支払って
自分の物になったとたん
もう新車ではなくなるんだ
中古車になるんだよ
そうだから
新車を運転したことのある人って
どこにもいなんだ
誰一人新車を運転できないんだよ
カエル鳴き 眠りの底へ 沈みゆく
傘一つ 小雨を歩く きみとぼく
月曜日 仕事へ行き
火曜日 図書館に行き
水曜日 森のなか
木曜日 仕事へ行き
金曜日 畑仕事
土曜日 海浜を歩き
日曜日 思い出にひたる
おさない女の子が
母にてをひかれて
みちを歩いている
お母さん
わたしはいつまでも
手をつないでいたい
ずっとずっと
いつまでも
約束してね
手を放さないって
雨が近いのだろうか
風が吹く
やんだかと思うと
そっと風がしのびよる
父母が手招きをしている
早くこちらへ
おまえを待ってる
その目は悲しげにも
やさしげにも
見える
早くこちらへおいで
植物の名前はやさしく美しく
楚々として端麗である
たとえば合歓の木(ねむのき)
たとえば芙蓉(ふよう)
たとえば白樺(しらかば)
たとえば楓(かえで)
繁殖力旺盛にして
四方八方に種を飛ばし
あたり一面の林を作り
やがて森へと繁茂する
何万年何億年の時間をこえて
生き延びてきた
その強さに目がくらむ
雨脚が弱くなり近所の喫茶店へ向かった
禁煙になったせいで客は少なく
雨のせいでいっそう少なく
空席が目立った
窓際の席に座ると
年配の男が二人でやってきた
「わいらはもう生きる力はないけんね」
「そうやもういらんそんなもん」
「そうはゆうてもわいは雨に弱いわ 生きる力はゼロや」
「わいかてそないや」
「晴れの日に生きる力は誰にもあるもんや
雨の日こそ試されるんや」
いれたてのコーヒーの香りがして
三十の坂をこえたばかりに見えるウエイトレスが
足取り軽くカップを運んできた
晴れた日であった
青く澄んだ空はどこまでも果てしなく広がる
こんな日が年に一度はあるものだ
ゆったりと流れる川に腰までひたり
鮎の当たりを待つ時間
風はおだやかに吹き
水面は日を浴びてきらめく
こんな時がまたあるかと思うほど
完璧な鮎釣り日和であった
日暮れて川面に夕陽が差すころ
釣り人の姿はもうなかった
釣り人は帰らなかった
話題の映画を見た
子役のかわいらしいこと
食べるシーンの多いこと
カップめんを食べているのが
貧しさの表現なのか
小さな女の子の母になりたかったのだろうか
演技とはいえ、愛情を感じさせられた。
反面で、小さな男の子お父親になりたかったのだろうけれど
やや表現力がものたりなかった。
ひょうひょうとしすぎていた
生みの親より育ての親
遠くの親戚より近くの他人
そんなあたりまえのことを
思い出さされた