名もない大学の万年准教授
読書家にして資料収集に熱心なのだが
とんと論文らしきものを書いたことがない
このまま定年を迎えるのだろうと
学内外の誰もがそう思っていた
気ままな一人暮らしに
明け暮れし
部屋は散らかり放題
買い求めた物の包装紙などが
たまる一方
ゴミだしをしたことがなかった
その日もコンビニ弁当を食べながら
テレビをつけると
ゴミ屋敷の特集番組がかかっていた
あまりの乱雑さに食欲を失いかけたのだが
なんと自分の家とそっくり
そうだこれぞゴミ屋敷なのだ
この始末を誰がするのか
思案にふけりつつ
飼い猫を抱いて布団にくるまった