粉雪舞って冬将軍が進撃してくる
枯葉の中に母ネコ子ネコは埋もれて眠る
粉雪舞って気温は下がり水は凍り
空気すら凍てつく
母ネコ子ネコは餌をあさりにふだんよりも
遠くへ行かねばならぬ
粉雪舞ってあたり一面白く染まる
母ネコ子ネコは歩く力すら
残されていなかった
粉雪舞って
寄り添って眠る
母ネコ子ネコの上に
雪降り積もる
粉雪舞って冬将軍が進撃してくる
枯葉の中に母ネコ子ネコは埋もれて眠る
粉雪舞って気温は下がり水は凍り
空気すら凍てつく
母ネコ子ネコは餌をあさりにふだんよりも
遠くへ行かねばならぬ
粉雪舞ってあたり一面白く染まる
母ネコ子ネコは歩く力すら
残されていなかった
粉雪舞って
寄り添って眠る
母ネコ子ネコの上に
雪降り積もる
わたしは山っこ山育ち
粉雪が舞い始め冬将軍の到来だ
小屋からスキーを引っ張り出して
滑走を試みる
粉雪が積もり山が白い姿に変わるとき
秘密のルートをひとりでたどる
来る日も来る日も
誰にも内緒の自分だけのルートを
滑走する
木の枝から落ちてくる雪をよけながら
埋もれてしまわないように
緩急とカーブの変化をあきることくなためすのだ
危険といわれても
ただひとり滑走せずにはいられない
やがて明るい陽射しに粉雪がとける頃
秘密のルートの地面があらわになり
山スキーの季節が終わる
ある年陽射しが心の扉をたたき
スキーをやめようと決めた
十分に楽しんだ
十分に堪能した
そうして
二度と山スキーをしたことがない
とある町の
父親なる人物が言っていたものだ
この子のためなら
自分の命は投げ出すと
その子が大人になって
わが子を育て
この子のためなら
自分の命は
惜しくないと
こうして身代わりの
連鎖は
代々続いていくのだった
旅人は急ぐ
昼前までに目的地に
着かねばならないからだ
荷物を切り詰め
わき目もふらず
歩き続ける
きょうが最悪の日であることを
旅人は知っている
絶好の日和は決してやってこないことを
今日を逃しては出発できないことを
知っているからだ
去年の秋に生まれた子ネコは
まだ母ネコから離れず行動をともにしている
母ネコは風から子ネコを守るように
抱きしめていた
母ネコ「こないだは小寒。
今日は大寒だからね。特別に寒いのよ」
子ネコは母ネコにしがみつきながら
「それなら中寒はいつなの?」
母ネコ「中寒ってないのよ。」
「おおさむこさむ」と母ネコは
ひもじいおなかを忘れたかのように
歌って聞かせた
3日も食べ物にありつけず
疲れを見せ始めた子ネコは
じっと耳を傾けた
かの荘子は夢に蝶となった
この男は夢でどろぼうになった
毎夜毎夜どろぼうを働く夢を見た
とうとう男は自首することに決めた
寝静まった町の警察署へ
男は出かけ、罪を告げた
応対の係官は眠そうな目をこすりながら
被害届もないので
あんたはどうぼうを働いていないと告げる
そのとき男は驚いた
そんなばかなことがあるものか
夜が明けたらもう一度自首しよう
日が昇り町に活気が戻る頃
男は再び署を訪れ罪を告げた
十分に眠りをとったあとのはつらつとした係官は
やはりあんたはどろぼうを働いていないと
言うしかなかった
署から帰る男の目に
朝日を浴びた町のたたずまいは
見たこともないほど色彩豊かであった
もっと高く飛ぶためには
贅肉をそぎ落とさねばならない
もっともっと高く舞い上がるためには
持ち物を捨て最小にしなければならない
わたしのかわいいこどもたち
お願いだから
新年の決意など立てないでほしい
よし立てたとしても
三日ぼうずで
終わらせてほしい
いつまでも
かたわらにいてほしい
こどもたち
大志なぞ抱かないで
今のままで
何も変わらないでいてほしい
祝日、イブ、クリスマス
晦日、大晦日、正月、三が日
親密な時間が始まり
一族がうち集い
賑やかな晴れの時間が
飛翔する
愉しみと懐かしさのなかにとけていく時間だ
ありふれた日常を離れ
魔の時間がしのび寄る
生きていく羅針盤が止まり
方向感覚が失しなわれる
狂気 憎悪 悔恨
魔の時間に注意あれ
思えばあの頃
楽しい日々だった
言い間違いやら
聞き間違いやら
笑い過ごした日々だった
主はきませり
皺きませり
骨粗鬆症と言えず
こつこしょう症
聞いた方では
骨胡椒症
塩胡椒少々
やっぱり
骨故障症の間違いか
思えばあの頃
楽しい日々だった
笑って過ごした日々だった
自律神経出張症ではないのだよ
自律神経失調症なんだ