浄水場の跡地に植わった1本の木。
ポプラの木だ。
さかさまに立てられた竹ぼうきのよう。
満員電車に詰め込まれ肩をすぼめる人のよう。
これがボクの好きな木なんだ。
背丈が高いので、周りには高い建物がないので
遠くからも見える。広々とした空間に
枝を横に張り出して美しいシルエットを作ればいいのに、
窮屈そうに枝が幹に添う。密集林に植えられたと
勘違いでもしているのか。
北国の木のはずなのだが、近畿のこんな所に来たのだ。
ボクの暮らす四里四方の内で
一番好きな木。ポプラの木。
雨風の強い二月の今夜、
真っ暗がりの中、枝はさびしく揺れて
さかさまほうきのように
僕の心も揺さぶられる