牛肉の脂肪注入(平成25年10月29日)

このところの、食品の偽装。

牛肉の脂肪注入していたのだと言う。

そうだったのか。道理で。

もう何年も前から、外食で、たまに

食べる機会のあった、牛肉のステーキが

油こくって食べられないようになった。

年齢とともに、自然に、食べれらなくなったのだ。

そう思っていた。

しかし、このところのニュース。

もしかしたら、脂肪注入された肉ばかりを

食べさせられようとしていたのだとすると、

食べられなくても、無理もない。

細工のされていない牛肉のステーキを

食べに行きたくなった。

キンモクセイは2度花咲く(平成25年10月27日)

今年は10月初め、一度めの開花。そしてちょうど

今、10月下旬に2度目の開花。

といっても、同じ木に2回、花がついたのではない。

先発組と後発組の二組にわかれたわけだ。

元々は汲み取り式便所の時代、便所の外側の

空間に植えられた木だという。

匂い消しの役目をしていたのだった。

シャクヤクのように豪華でもなく、

ユリのように清楚でもなく、

ぼたんのように美しくもない。

その香ゆえに愛好される、

ふしぎな花。

 

背広の肩に雪降り積もる(平成25年10月18日)

その人は向こうを向いて立っていた。

背広の肩に雪が降り積もっていた。

正確には雪ではない。雪のようなものだった。

雪のようなものは何か。

それはふけだった。

背広の肩に、雪のように白いふけが

ふりつもっていたのだった。

その人物は誰だったか。

元アメリカ大統領、ケネディ氏。

それを見た人はどう思ったのだろうか。

なんと不潔な人物だろう、と思ったかもしれない。

あるいは

背広のふけをとりはらういとまもないほどの

忙しさなのだろう、と思ったかもしれない。

そう、入浴する時間すらまったくない生活。

そうだったのかもしれない。

蝶よ 花よ(平成25年10月14日)

人並みに昆虫少年だった頃がある。

蝶よりもトンボが好きだった。

ひらひらと飛ぶ蝶に対して

トンボは一直線に飛ぶ。

私の好き嫌いでは、トンボの飛び方の方が

はるかに好きだった。

昆虫少年の心はとうに失われて、トンボの姿を

見て心がはずんだのは遠い昔の日々になった。

そして世間では蝶の好きな昆虫少年が多数だと

いうことを最近になって知った。

今年の暑かった夏の日々、トンボの姿を

見ると心がなぜか、なごんだ。

雑草のしげみにガの幼虫を見つけた。

とても地味な成虫になる。

夏のある日の駅の風景(平成25年10月14日)

すっかり去っていった夏。まためぐってくる来年の夏。

夏はこれからもくりかえしくりかえし、来ては去り、

来ては去る。

3年前の夏の日、所用で、大阪へ行き、

環状線のとある駅で降りた。

初めて降りる駅だったけれど、駅前風景は

これといって目新しいものはなく、マクドナルドや

セブンイレブンが並んでいた。

私の目を引いた光景があった。

駅の改札口で、何気に人を待っているふうの親子があった。

母親と二人の男の子。小学生の低学年と高学年に

見える背丈と顔つきだった。

電車がプラットフォームに到着し、乗降客が動き、

発車していくのがざわめきで知れた。

改札口に、一人の男性が現れた。

片手に大きなボストンバッグを

さげているほかは目立たない、

ごく普通の様子であった。

その男性が改札口を通り抜けたとたん、

二人の男の子がさっと近づき、

男性の両腕にすがりついた。

「お帰りなさい、お父さん」

二人の男の子は両側から父をはさみ、

顔に笑みを浮かべて、

少し離れて立っていた母親のそばに近づいて行った。

この男の子たちはあまり勉強しない子かも

しれないし、整理整頓が苦手かもしれない。

けれども、おそらくは単身赴任でたまに帰ってくる父親が

大好きなことだけは確かだ。