裏返しにされたカニと蟹(平成25年3月23日)

 

 

ゴッホの絵に

カニの絵が

ある。

そのカニは裏返しにされている。

ゴッホの生まれた国、オランダでもカニは好んで食べられる。

それにしても裏返しにされたカニに、なぜか、同情してしまう。

横歩きができなくて、足をむなしくもがくだけ。

まったく自由がない。哀れな姿だ。

ゴッホその人の心境だったのだろうか。いくら絵を描いても

一枚も売れない画家。貧しくて画材を買うにも事欠く生活。

蟹が描かれた絵はたくさんある。

けれども、裏返しにされたカニを描いた画家はゴッホ

ただ一人だ。その哀れさに心を打たれるし、自分の

姿に重ねる時がどんな人にもあるにちがいない。

写真はメジロを写したもの。みかんが大好きで、遠くから

やってくる。

カニと蟹(平成25年3月7日)

気温が高くなった。冬が終わりへと近づいた。

春が来る。

日本海側のカニ漁も終わりに近づいているのだろう。

小学5年生の女の子が書いた作文を思い出す。

カニの話だ。

「私は山陰地方のカニのとれる漁港で生まれた。

最近になって、京都市内に引っ越してきた。

市場では小さなカニは売れないからという理由で

はね物にされる。地元のお店だけで売られている。

私ははね物のちいさなカニが好きだ。とても

おいしいからだ。

誰からも振り向かれない、あの小さなカニの

ように、私はきちんと生きていきたい。

誰にも相手にされなくて、無視されて、さげすまれても

私はりっぱに生きていきたい。

お母さんと、妹と、私だけの家族で」