しっとりと雨が降り、夜明けも夕暮れも区切り目がはっきりしなかった。
それでも夏至は夏至で、土曜日なので、野宮神社へ行った。
夏越しの茅の輪が飾られていた。
この輪をくぐると、年末までの半年間、健康に過ごせるのだそうだ。
なごしのちのわ、と言われている。
しっとりと雨が降り、夜明けも夕暮れも区切り目がはっきりしなかった。
それでも夏至は夏至で、土曜日なので、野宮神社へ行った。
夏越しの茅の輪が飾られていた。
この輪をくぐると、年末までの半年間、健康に過ごせるのだそうだ。
なごしのちのわ、と言われている。
雨はふらず、日は照らず。こういう日曜もあるものだ。京都の西の端から東を見ると、きょうも比叡山はかすんでいる。
誰かが言っていた。大阪駅から札幌駅に向かうJR特急列車は新婚の人々で満席なのだそうだ。人よんでジューン・ブライド特急列車。列車の名前はトワイライト・エクスプレス。たそがれからあかつきへ、あかつきからたそがれへ。
あんな列車の、車中の人になれば、何もすることがなくて、きっと時間がたくさんあるだろうな。
ちまたに平凡にくらす者には6月はいそがしい。雨もふる。日は長い。祝日はない。自然界の生き物は旺盛な活動期を迎える。水をはった田んぼ。ほたる。川に満ちる鮎。
生き物は時を知っているのだろうか? それとも知らないのだろうか?つばめはつばめの時間をいきている。かえるはかえるの時間をいきている。
京都のここらあたり、つばめもかえるもすぐそこにいる。
足の裏に魚の目ができた。皮膚科で診てもらった。皮膚科の言葉では鶏眼というのだと教えてもらった。けいがんと読んで、鶏の目という意味である。鶏はにわとりのことだ。
あの渦を何かの目にたとえているわけである。
松尾芭蕉の句にこんなのがある。
行く春や 鳥啼き 魚の目に涙 (啼くは鳴くのこと)
ちょうど今頃の季節をよんだものだ。
昨日、鳥の鳴き声を動画でとってみた。このエッセイにつけれらず、残念です。
ときどき、買いに行くパン屋さんがある。店の名前がB.L.T.という。
どういう意味なのか、気にもせず、昼食用のサンドイッチを買いに行く。あるとき、それが、BはベーコンのB、LはレタスのL、TはトマトのTだと知った。この3種がはさまれているのをクラブハウスサンドと言うのだそうだ。
店の近くまで来ると、パンのかおりがただよっている。
きょうもクラブハウスサンドを買った。
6月10日と言えば、時の記念日だ。今年も記念らしいことはしなかった。夜に予定の産科手術がある。定刻20時15分に始まった。手術器具は今夜もぴかぴか輝いている。
2990グラムの女の子が元気な産声を上げた。髪が黒々とはえている。白い脂肪を皮膚にまとっていた。健康に育った証拠である。22時15分に終わった。きっかり2時間0分である。
医院を出た。道幅の広い四条通りに乗り入れる。
窓を開け放つ。涼しい風が心地よい。このまま、長いドライブにでかけてしまいたくなる。いい気分である。気ままに道を選び、高速道路をどこまでも走り続ける。最高にぜいたくだろう。
現実はそうはいかない。いつもの道を走りぬけて、自宅をめざす。22時30分を回ると、飲食店だけがこうこうと灯りをともしている。医療職は時間に関係なしでたいへんだけれども、飲食業も遅くまで営業していて、たいへんさは似たところがある。
帰り道にある2店目のマクドナルドを写した。ここもドライブ・スルーがある。
週2度目の夜の手術があった。
開始時刻はいつもの定刻20時15分だ。
手術器具台を見ると、全部の器具が新品に変わっていた。
無影灯の光を浴びて、ピカピカに輝いていた。
宮沢賢治の「鍬(くわ)はぴかぴか」という詩を思い出した。
~鍬はぴかぴか~
こういう一行だけを思い出した。
ピカピカのメス、はさみ、かんし、なにかもピカピカの器具が、正確に、迅速に、操作されて女の子が生まれた。2700グラム。
ピカピカの新生児である。
帰宅してから、宮沢賢治の詩を探そうとした。
詩集が収められた文庫本をすみからすみまで探しても見つからない。
やはり記憶違いだったのだ。
《 雲の信号 》
ああいいな せいせいするな
風が吹くし
農具はぴかぴか光っているし
山はぼんやり
岩頸だって岩鐘だって
みんな時間のないころのゆめをみているのだ
・・・・
どういうわけか、シルベスター・スタローンという映画俳優が好きだ。
これまでの映画作品のほとんどを見ている。
今回、「ランボー」のシリーズ第4作が公開されたのを見てきた。
R15と指定されているので、こわい場面が相当あるのだろうと覚悟を決めて行った。どういう技術なのか知る由もないけれども、戦いの場面が精密すぎるように思えた。戦うランボーを演じるスタローンの意志や信念や熱情が自分にのりうつるように感じられた。
つまり、勇気を鼓舞されるために見に行きたくなるのだった。
これでシリーズ最後の作品なのが残念でたまらない。
二条城からほど近いところにあるシネマ・コンプレックスから帰宅する途中、7時きっかりの夕焼け空を写真に収めた。梅雨3日目で、雨のふらない一日だった。
虫歯をなおしたあと、定期的にメンテナンスに通うようになった。月に1回から1か月半に1回くらいの割合で、もう何年も同じ歯科医院でみてもらっている。磨き方のよくないところを指摘してもらったり、歯垢をとってもらったりしているうちに1時間はすぐにたってしまう。口の中がさっぱりして、医院の外に出ると、気持ちもわずかだけれども、晴れ晴れしてくるようだ。
同じように月に1回、理容店に行く。髪を短くそろえてもらうと、やはり、気分がよくなってくる。歯も髪もどちらも首から上のメンテナンスを受けているわけだ。肩や腰をもんでもらったり、リフレクソロジーという足のマッサージもしてもらうとさぞ気持ちがいいだろう。現実には首から下のメンテナンスは受けておらず、セルフメンテナンスをしていると言えばいいだろうか。
かかりつけの歯科医院では歯科技工士さんがおもにみてくれている。きょうは昨夜の疲れからか、うとうととしながら、「口をあけて」「うがいをして」など指示があるとき以外は口はあけていても、まぶたが閉じてくるのだった。
帰り道、鴨川にかかる橋をこえるとき、大きな鳥が群れをなして、橋の上空を旋回していた。車を脇にとめて、写真にとろうとした。しかし、画面に対して、鳥の飛行はあまりに早く、空しか写せなかった。鳴き声からトンビだとわかった。
言うまでもないけれど、みなづきと読む。これまた言うまでもないけれど、旧暦で6月のこと。数字で月をあらわすのはわかりやすいけれど、旧暦の月の名まえの方がおもむきがあるような気がする。
きょうの夕食後に、宅配で注文していた和菓子の水無月を食べた。
下の半分はういろうのようで、その上に小豆がのせられている。下半分と同じういろうのようなもので小豆がまとめられている。形は直角三角形をしている。
大きさが小さくて、三口くらいで食べ終わってしまった。もっと食べたいな、と思わせる大きさ、いや小ささだった。