世界遺産の登録がしだいにふえて、そのたびに行きたい所がふえて困ってしまう。
世界遺産へ行きたしとおもえど、世界遺産はあまりに遠し。
こういう心境になってしまう。
どんな職業でも徹底すれば仕事場にこもりっきりになるか、反対に各地を転々と動き回るかのどちらかになる。こもりっきりは居職(いしょく)と呼ばれる。各地を旅から旅に回るのは旅芸人と呼ばれる。どちらであっても世界遺産に行くヒマがないことには変わりがない。
私の場合、居職の方で、半径1キロが生活圏兼仕事圏である。
そこでつまらないことを考えついた。
たとえばアインシュタインの一般相対性理論がある。これだって考えようによれば、物理学上の世界遺産である。ただどこかそこへ行けば見えるといったものではない。どこにいようが、理解できれば、それを見たことになる。
でもむずかしいのだろう。
他にも考えてみた。
ベートベンの交響曲を全部聴くことなど音楽分野の世界遺産もある。
トルストイの長編小説やドストエフスキーの小説を全部読むのは文学分野の世界遺産めぐりである。
これだってむずかしそうだ。
実際には半径1キロ圏内に世界遺産が1か所ある。天龍寺がそれだ。6月に咲くハスの花がきれいだ。今年は見に行くことにしよう。