- 自分を幸せにできるのは自分だけ
高校生のころ、将来は学者になると決めていました。たくさんの本のある部屋で読んだり書いたり、また思索したりしてすごす生活にあこがれていました。大学教授になって、本を一杯書いて、有名な学者になる夢を持っていました。
それから20年後。
望みが半分かなって、大学助教授になっていましたが、ほとんど業績らしいもののない、ぱっとしない学者でした。考えたものです。自分の実力はこの程度なのだろうかと。どう考えてみても本領発揮しているとは思えませんでした。
自分が本領を発揮できる分野に移ろう。もしそうしなければ、後悔するに違いないと、粗末なアパートに暮らしながら決意を固めました。やり遂げたい仕事がある。それは自分にとっては、医師の仕事だと、無数の夜と昼、思いを新たにしました。
1988年春、38歳の歳に、医学部の一年生になりました。どんなにうれしかったことでしょう。
それから16年後。嵯峨嵐山に産婦人科と精神科の外来クリニックを開設できました。